子どもという存在は、私たち大人が思っている以上の力を持っている。その力に、これまで何度も驚かされてきた。今回の大山登山山頂編も例外ではなく、出発から帰園まで10時間以上にも及ぶ大冒険をやり遂げてしまうのだから、まさに大人顔負けである。
もちろん、一人ひとりの力も大きい。しかしそれ以上に欠かせないのは、仲間の存在だ。声を掛け合い、励まし合い、ときには黙って寄り添いながら、一歩ずつ前へ進んでいく。そうして互いの存在が影響し合い、思いもよらない大きな力が生まれていく。その様子をすぐそばで見守らせてもらいながら、何度も胸を打たれた。
“そう見えるだけ”なのかもしれない。それでも、これだけの大冒険をやり遂げた子どもたちの姿には、やはりどこか変化が生まれる。背中が少し頼もしく見えて、そんな姿がくすぐったくも愛おしい。「ああ、今まさに大きくなる瞬間を見せてもらっているんだ」と嬉しくなる。と同時に、「まだまだ子どもでいていいんだよ」と、ほんの少し寂しくもなる。
山を一つ登って、降りてくる。それは決して簡単なことではない。だからこそ、「こんなに大変なことを自分はやり遂げたんだ」という確かな実感が、子どもたちの心に刻まれるのだと思う。その経験は、これからの人生のどこかで、自分を支えてくれる“自信”として残り続けるのではないだろうか。


