コロナ禍の今、大人がマスクをして生活することが当たり前になり、 他の人と接触する際には必要不可欠なものとなりました。
今回は、保育研究会より発行されている「エデュカーレ」の記事より、 抜粋した文章をご紹介致します。
「乳児」にとってのマスク
乳児期は、目や耳で学び、言葉を獲得 する時期です。
視覚野や聴覚野の《感受性期》にあたるこの時期に、子どもたち は相手の表情を見たり、
「おなかいっぱいだね」「ねむいね」などという声を聞 きながら成長していきます。
こうした経験を日々積み重ねていくことで、喜怒哀楽などの感情が理解できるようになります。
マスクで相手の口の動きや表情が見えないという状況は、視覚野や聴覚野の感受性期に、子どもたちから学習の機会を奪うことにつながるのです。
「幼児」にとってのマスク
今、幼児期を迎えている子どもたちは、視覚野、聴覚野の、感受性期には、いわゆるコロナ以前の生活を経験して育ってきた世代です。
相手と大声で笑いあったり、密に触れ合い、もみくちゃになりながら育ってきた経験があります。
彼らの中にはその時の記憶が残っています。ところが、周りの人たちがマスクをするようになり、表情が見えなくなった今、コロナ以前に経験していた対人関係の心地よさを知っている分、これまでのように相手の表情を確認しながらコミュニケーションできないことに対する心的なストレスが高まっている可能性があります。
このように、発達の面からみても、マスクの着用は脳と心の発達に何かしらの影響を与える可能性を否定できません。
大事なことは、できることをできる範囲で行うということ。
マスクをした他者が当たり前の環境になっている今、限定された関係の中だけでもマスクを外したコミュニケーションを得られる時空間を子どもたちに提供していただきたいです。
たとえば、家庭内では、母親や父親が豊かに動く表情をコロナ禍以前よりも意識的に見せてあげることなども有効と明和先生は話します。
以前とは違った働きかけや援助が必要だということを改めて実感させられる記事でした。
マスクを外せない今、保育の工夫も一層考えていかなければと思う限りです。
キッズスマイルラボではどうしているの?
先日、0歳児の子が担任がマスクを外した瞬間に泣いてしまうという事例がありました。
普段慣れている保育者であっても、マスクの有無によって人見知りをしてしまったのです。
今やマスクが顔の一部として認識してしまっている子どもたち。「
今回の事例に限らず、マスクが与える影響って大きいよね」と保育者間でも話をしています。
一歳を過ぎると子どもたちは絵本の読み聞かせや歌遊びで、大人の口元を見るようになります。
口の動きや舌の使い方を見て習得し、発語に繋がっていきます。
又、食事の介助では「もぐもぐ」と口の動きを知らせることや、「美味しいね。」「これはシャキシャキ音がするね」等と会話を楽しみながら一緒に食べることが食育となる保育の場。
マスクや一緒に食べられない今は食育の難しさにも通ずることを感じています。
そこで、職員間で話し合い、キッズスマイルラボでは活動の様々な場面で、〈透明マスク〉を使用し、子どもたちに表情や口の動きを知らせていってみようということになりました。
ワクチン接種も広がりを見せ、マスクなしの生活まで、もう少しの辛抱だと思いますが、キッズスマイルラボでもご家庭でも今できることに最善を尽くせると良いですね。